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「新型コロナ危機による流通チャネル変革と戦略課題」

『マーケティング・ジャーナル』 41巻4号 日本マーケティング協会 (2021年6月)

Ⅰ.はじめに
新型コロナウィルス感染症の流行は、わが国の社会に大きな影響をもたらした。マーケティングに対しても例外ではない。マーケティングを含む事業活動そのものが休止に追い込まれたり、あるいはマーケティングのやり方が大きな制約を受けたり、新たな方向に向かったり、といった話は、枚挙の暇がない。
短期的には、なんとかこの危機を凌がなければならない。例えば、レストランならば、テイクアウトや宅配をスタートさせ、チラシやインターネットで拡販を図るというのが、これである。また、コストダウンや財務体質の強化も重要である。これらは、BCP(Business Continuity Plan = 事業継続計画)の守備範囲に入るのであろう。
ただ、このやり方は長くは続かない。中期的には、新たな環境の制約に積極的に適応していくことが求められる。テイクアウトや宅配あるいは新業態に活路を見出すのであれば、それに本腰を入れたマーケティング戦略が必要になる。不便を抱えている人が多ければ、マーケティング機会は溢れているわけで、マーケティングの役割は大きい。
激変する環境のなかで、このように、マーケティング戦略をいかに適応させていくかは、マーケティング研究、マーケティング実務の双方にとって、きわめて重要な課題である。しかも、今回の新型コロナ危機がマーケティングに及ぼす影響は、それにとどまらないであろう。生活様式や購買行動の変化に不可逆的な部分が含まれるならば、長期的には、マーケティングのあり方を抜本的に変えてしまいかねない可能性も秘めている。
例えば、接客ができないため自動車のような製品さえオンラインで商談が行われ、特に問題がないとなると、この後の自動車流通は激変し、そのことがメーカーの競争地位に劇的な影響を及ぼすというシナリオさえも否定はできない。
テレワークが定着すれば、人々の生活のあり方が変わり、それにともなってニーズが様変わりするということも多いに考えられる。
新型コロナ危機への対応のためにやむを得なくとった対応が結果的に快適であったり、効率的であったりして、新型コロナ危機収束後も継続するという場面は少なくないであろう。
いま求められているのは、新型コロナ危機にどう対処するかとともに、その先にどのような世界が広がり、その世界のなかでいかなるマーケティングを展開するかに思いを巡らせることであろう。
そうしたなか、本稿は、新型コロナ危機に直面したわが国のマーケティングが、とりわけ中長期的にみて、どのような課題をもつに至るかを検討しようとするものである。具体的には、新型コロナ危機が感染症予防の観点からいわば強制的にもたらした、流通チャネルを中心としたマーケティングの変革が、中長期的にどのような戦略課題をもたらすかを明らかにする予定である。

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「新・ゼミ訪問」 『宣伝会議』2020年3月号

重要なのは知識よりも「考える力」-明治学院大学 池尾恭一ゼミ訪問

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「サービス業における支払意思価格の向上を目指して:宿泊業・飲食業を中心として」

『流通情報』、541号、流通経済研究所、(2019年11月)

1.はじめに
2018年、訪日観光客数は3000万人を突破し、過去最高を記録した。
訪日観光客受け入れの主役は、国際的にみてもきわめて高い水準のコンテンツを提供する、わが国の宿泊業と飲食業である。おもてなしと美食は日本観光のいわばツートップである。ところが、このツートップが、生産性の低さゆえに低賃金を余儀なくされ、人手不足に悩んでいる。したがって、宿泊業や飲食業における生産性の改善は、わが国におけるきわめて重要な課題だといわなければならない。
こうした状況の改善には、情報通信技術や人工知能などを活用した効率化はもちろん有望であろう。しかし、それとともに重要なのは、宿泊サービスや飲食サービスに対する顧客の支払意思価格(Willingness To Pay = WTP)を高めることである。
また、訪日観光客数が順調に増加している反面、観光客一人あたり消費額は2015年をピークに近年伸び悩んでいる。観光客一人あたり消費額の改善には、娯楽サービス不足の解消が重要であることはいうまでもないが、それとともに、宿泊サービスや飲食サービスに対するWTPの改善も大きな役割を果たしうる。
しかも、宿泊サービスや飲食サービスに対するWTPの改善は、外国人観光客によるインバウンド需要だけの課題ではない。宿泊業や飲食業における生産性の低さは、国内需要に起因する部分も少なくない。
本稿は、国内需要とインバウンド需要の双方を含めた形で、わが国における宿泊サービスや飲食サービスに対するWTPの改善の方策を探ろうとするものである。

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「リバース・イノベーションの需要側面」

『JSMDレビュー』第2巻 日本商業学会 (2018年4月)

1.はじめに
リバース・イノベーションという現象に注目が集まっている。リバース・イノベーションとは,新興国市場に焦点を当てたイノベーションが先進国市場に逆流するという現象である。従来イノベーションは先進国市場から新興・途上国市場へと広がっていたのに対し,それとは反対の方向での動きが近年見られているわけである。 本稿では,まず,わが国企業においてなぜ新興・途上国市場向けのイノベーションが注目されなければならないのかを再確認する。そのうえで,この新興・途上国向けイノベーションが,わが国のような先進国の市場において,どのような需要側の条件のもとで,どのようなインパクトをもたらすかを検討する。つまり,リバース・イノベーションが生じる需要側の条件の検討である。リバース・イノベーションが,先進国場において,いかなる機会と脅威をもたらすかは,そのことによって明らかになるものと思われる。

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『日本の観光を担う次世代リーダーへ』、日本観光振興協会、2018年2月

Ⅱ理論編のなかの「観光経営におけるブランド政策」を執筆

はじめに

本章では、観光経営におけるブランド政策を解説する。しかし、観光経営といえども、ブランド政策はマーケティングとの密接な関わりのなかで立案される。そのため、ブランド政策の概要を説明した後、旅行目的地のためのマーケティング、すなわちデスティネーション・マーケティングとはいかなるものかを解説する。そのうえで、旅行目的地のためのブランド政策、デスティネーション・ブランディングを検討し、次いで、デスティネーション・ブランディングの事例として、東京都のブランディングを紹介する。最後に、観光経営におけるブランド政策の役割が示される。

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『入門・マーケティング戦略』、有斐閣、2016年9月

日本の企業の強みはもの作りにあるといわれてきました。ところが、そのもの作りの素晴らしさが必ずしも業績に結び付かず、苦戦を強いられる事例が多くみられます。つまり、よい製品を作っているのに、うまく売れないのです。それにはいくつかの理由が考えられますが、その一つが広い意味での売り方の拙さ、つまりマーケティングの拙さです。

本書はこのマーケティングを初めて学ぶ人達を対象とした入門書です。典型的には、大学でのマーケティング入門コースの教科書、企業で初めてマーケティングに接する人達のための入門書というイメージです。

本書のもう一つ特徴は、企業におけるマーケティングのあり方を決定的に左右する、マーケティング戦略に焦点を合わせた点です。マーケティングにおいては、製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通チャネル(Place)といった、4P(これらの頭文字をとったものです)をいかにすべきかが重要であることはいうまでもありません。しかし、より重要なのは、4Pを背後で方向付けている、マーケティング戦略です。

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『マーケティング・ケーススタディ』、碩学舎、2015年6月

本書は、ケーススタディによってマーケティングを学ぶためのものである。

ケースとは、ある意思決定主体(例えば企業)が置かれた状況を記述した小冊子である。この小冊子を題材に、意思決定主体がとるべき施策を検討し、議論し、それを通じて、マーケティングならマーケティングの考え方、理論、理論と現実の関係などを学び、なによりも意思決定のための考える力を磨くのが、ケーススタディである。

本書には、第3章の解説用ケースを別にしても、合計10本のケースが収録されている。それらを用いて、授業、研修、セミナーが行われるという用途を、一つには想定している。

また、大学の大学院や学部の授業でケーススタディが行われるとき、あるいは企業研修や外部のセミナーでケースが用いられるとき、それらを本書での予習や復習で補強していくのは効果的なやり方だと思われる。

さらに、授業、研修、セミナー以外の場面、つまり講師やクラスメートがいない場面で、一人で本書を読み進むという使い方も考えられる。その場合には、できれば一緒にケースを学ぶ仲間を一人でも二人でもみつけ、本書で示されるような形で分析を進めるとともに、少人数であっても、議論を重ねることが有効であろう。

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「ライト市場」、2015年3月

『流通情報』、513号、流通経済研究所

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「消費者を捉える論理とマーケティング戦略」、2015年3月

碩学舎ビジネス・ジャーナル vol.32

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論文「日本型マーケティングの戦略課題:JTBにみる革新の方向」、『観光科学研究』第8号、首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域、2015年3月

本稿では,まず,JTBのビジネスモデルとJTBを取り巻く市場環境の変化を確認したうえで,いわゆるポートフォリオ分析の観点から,将来のキャッシュフローを生み出す新たな柱となるスター事業の必要性を指摘する。次いで,新たなスター事業候補を分析するための枠組みとして,購買関与度と製品判断力という二つの購買特性が導入され,この枠組みに従って,日本国内で新たに生まれている市場機会は,JTBのような既存の確立された企業にとって柱となるスター事業候補としては必ずしも有望ではないことが導かれる。この文脈で訪日インバウンド市場の重要性が強調され,さらにそこで求められるマーケティング戦略の方向性が論じられる。

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「東京のブランディング戦略」、2015年1月

「東京のブランディング戦略会議」の座長として報告書の取りまとめに関わりました。

東京のブランディング戦略

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「商学」、『Guideline』、河合塾、2014年9月

Kawaijuku Guideline 2014.9

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最終講義 「マーケティングと消費者行動」、2014年1月

碩学舎ビジネスジャーナル vol.21

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論文 「流通イノベーションと企業成長」、『企業経営』125号、企業経営研究所、2014年1月

イノベーションを単なる革新と考えるならば、流通においても数多くのイノベーションを目にすることができる。例えば、100円ショップ、セルフサービスのガソリンスタンド、インターネットを使った通信販売など、枚挙に暇がない。また、インターネットを使った通信販売一つをとってみても、返品を自由にしたり、試着を可能にしたり、配送料を無料にしたりと、様々なイノベーションが見られる。 こういったイノベーションは、長期的な企業成長に結び付いているのであろうか。それに対する答えは、結び付いていることもあれば、そうでないこともあるということであろう。では、どのような場合にイノベーションは長期的な企業成長に結び付くのであろうか。 本稿では、流通業を例にとり、イノベーションが長期的な企業成長に結び付くためにはどのような条件が必要かを考える。

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ケース教材 「ニューベリー・トーキョー」 慶應義塾大学ビジネススクール、2013年12月

日本の生活雑貨店小売チェーン「ニューベリー」(偽名)は、台湾出店にあたり、どのような人々を標的として、いかなる立地や店作りを行っていくか、異なる立地と標的を有する店舗間でいかに効果的なチェーン・オペレーションを展開するかについて、決断を迫られていた。新興国における立地制約と効果的なチェーン・オペレーションの実現という文脈のなかで、マーケティング戦略のあり方を学ぶケースである。

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「リーダーの本棚:創造的なマーケティング戦略構築」、2013年12月

月刊「事業構想」オンライン 2013年12月号

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慶應義塾大学ビジネススクール、『経営人材を育てる』、慶應義塾大学出版会、2013年10月

第2章に収録された座談会「ビジネススクールのミッション」に参加。

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「マーケティング研究の潮流を探る」、2013年1月

Web広告月報 2013年1月

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